阪神・淡路大震災で失われたモノ、残されたモノ、生まれたモノ…そんな記憶を記録します。

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◉しんのこレポート

2000年 鳥取西部地震における
ボランティア活動報告(1)〜10/14〜

◉ 2001年1月17日

Text & Photos by 植草康浩

初出『震災が残したもの 6』

2014.1.22  up
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鳥取県西部地震(鳥取県日野町 2000年10月)
ほとんど手がつけられていない全壊家屋、中に入る事もままならない。
(鳥取県日野町 2000年10月)

大阪で

2000年10月13日、現地情報収集のため神戸元気村インターネット情報へアクセス。また、NHKボラネット、日野町ボランティアセンターに電話連絡。避難所内はスタッフが足りず、不眠不休で活動しているとの事。翌14日、あるいは15日から現地入りする旨伝える。避難所側、受入OKとの事。

10月14日

10月14日、午前11時、現地入り。日野町ボランティアセンターにて情報収集。各避難所人数、所在位置を確認。避難所は下榎地区、黒坂地区に大きく点在しているが縮小傾向にあるようだ。依頼内容のボードも確認してみると、まだまだ土木関係の依頼が多いようだ。やはり外で聞いているより被害は大きいようだと感じる。

「神戸元気村」神戸事務所へ電話連絡。合流したい旨伝えた所、快諾。下榎地区へ入る。そのまま車で移動。道中、現地周辺視察。国道180号、181号線とも土砂にて道路封鎖されていたが、ともに昨日夕方より仮設防護柵設置にて片側交互通行中であった。落石注意個所は何ヶ所も存在しており山腹斜面にも実際に土砂崩れ跡を確認。全体的に岩が斜面から浮き上がっており、素人目にも雨や余震で再度崩れる可能性はおおいにあると思われた。道路は大きく隆起しており、30〜50センチ以上の段差有。一部はアスファルトにて段差を埋めるように修復済み。下榎地区は軒並み瓦が落ちてブルーシートで屋根を覆っていた。黒坂地区の避難所も回ってみる。外から眺めるだけにしたが、中がどうなっているかはよくわからなかった。

見た目よりひどい被害状況

下榎老人憩いの家(避難所指定場所)隣にある「神戸元気村」現地事務所へ。事務所内各スタッフと自己紹介し、避難所の状態を見学。食事配給を共に行う。19時過ぎに本日の活動終了。食事と共に現状説明を受ける。

明日は京都から、東本願寺住職らボランティアが130人以上現地入りするようだ。地震による墓石の倒壊が著しいが、現地は有名な過疎地で若い働き手がおらず、臨時でわずかに休みをもらって都会から戻ってきた家族も後片付けに追われている。この地区は元々自宅と各墓地は目と鼻の先にあり、毎日墓参の習慣がある事からも住民の大半をなす老人たちはかなり気に病んでいるようであった。各地区から集まったボランティアを総動員して、重機を使い一気に修復作業を進める事になった。同時に各住職らが個別訪問をして、ニーズの吸い上げと内仏供養をしていただく事となる。僧侶になら老人は話しやすいのではないかという配慮からである。どうやら明日は一大ローラー作戦となるようだ。

一級建築士免許を所持しているボランティアに周辺の建物倒壊の状態について話を伺えた。被害は実際に眼で見るよりかなりひどいようで、基礎工事から根本的にやり直す必要があるとの事。かろうじて倒壊を免れた家屋が多いため見た目ではわからないが、土台そのものがゆがんでいるとの事であった。この地区は豪雪地帯であるため、屋根の状態(瓦が落ちてブルーシートで臨時の修理をしている)がこのままでは冬季に倒壊する家屋も出てくるらしい。かなり早急に対応すべき問題であると思われたが、地域業者は元々少ないため、周辺地域からの大規模な参入が必要であると思われた。早期の行政側の罹災認定が要求される。

有感地震

午前2時半、持参の寝袋で就寝。朝までに有感地震五回。それ程大きくはないが、毎回山鳴りがして、「ごおおーっ」という音とともに下から突き上げてくる感じがする。東京でちょっとした地震には慣れているつもりであるが、結構な恐怖感である。普段地震のない地区の住民にはかなりのストレスになっているであろうと思われる。

[続く]

◉初出誌
『震災が残したもの 6』(A-yan Tokyo、2001年)
#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。

◉リンク
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Text  植草康浩

▷A-yan Tokyo。阪神・淡路大震災を皮切りに各地の災害被災地でボランティア活動に参加。
この鳥取県西部地震の発生当時は大阪在住。

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