◉震災発レポート
津波と大火と地盤沈下に見舞われた街
旧北上川沿いの石巻市門脇町❷
〜東日本大震災の光景〜
宮城県石巻市・門脇町4・5丁目、南浜町 ◉ 2011年7月22日
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
text & photos by kin
2011.8.23 up
門脇町4・5丁目
門脇・南浜地区は、石巻市の沿岸の街である。日和山という小高い丘を背に石巻湾に面し、旧北上川と日本製紙の工場に挟まれた地域だ。門脇町(かどのわきちょう)は、その北上川寄りが門脇町4・5丁目、日本製紙寄りが門脇町4・5丁目。そして浜側に南浜町(みなみはまちょう)がある。
低地であるこの場所を津波が襲い、街をまるごと飲み込んだ。流された車が山寄りの建物にぶつかり、火災が発生する。これにより門脇小学校は全焼し、周囲は3日間燃え続けた。
住民は背後にある日和山地区に避難するが、丘がまるごと陸の孤島と化した。
南浜町
街の復興の話は、まだスタート地点にも立っていない状況だ。津波対策、高潮対策の指針が国からも依然として示されず、予算の裏付けもないままの状況では、市行政も具体案を作れないという。浸水地域であるこの場所は、建築制限も掛かっているので、住民も改築以外は何もすることができない。地区ごとの高台地域への移転も検討されているが、移転先の案もまだ具体的にはなっていない。
住民は避難所や仮設住宅、ほかの市町への移住をしているため、なかなか地区の復興の話し合いに参加できない。またバラバラになった住民同士も、それぞれの避難連絡先がわからない為、連絡の取りようもないという。今後の推移見守りたい。
現在はがれきの撤去も進み、更地が目立ってきている。街は下水道のフタが至るところで空いており、下水のにおいが漂う。周辺にはコバエの大群が舞っている。路面のアスファルトが剥がれた場所もあり、水が溜まって冠水する所もある。
#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。
- 石巻の震災被害: 01.石巻市/門脇・南浜周辺アーカイブ - 石巻百景